薬物療法
薬物療法の目的

 慢性呼吸不全の薬物治療は、息切れなどの苦しい症状の軽減を目的に行います。COPDなどの慢性呼吸不全では呼吸困難のために体を動かすのがおっくうになり、筋力がなくなって運動能力が低下し、呼吸困難がさらに悪化するという悪循環が知られています。薬物治療は慢性呼吸不全の進行を止めたり根本的に治療するものではありませんが、症状を軽減することによってこの悪循環を断ち切り、進行を遅らせることが期待できます。


薬物療法

●気管支拡張剤

 気管支を広げ空気の通りをよくする薬です。これには吸入薬、貼付薬、内服薬があり、作用機序の違ったいくつかの薬があります。

●強心剤

 心臓に直接働きかけ、心臓の収縮力を高めます。心臓の働きが弱っているときや心拍リズムが不規則な場合に使われます。

●利尿剤

 体内の余分な水と塩分を尿として排出して、心臓と肺にたいする負担を軽減する薬です。

●去痰薬

 痰の切れを良くする薬です。

 その他抗生物質や風邪薬は適宜用いられる場合があります。

吸入薬について

 外傷や皮膚の病気には塗り薬、目の病気には目薬を使用するように、肺の病気には吸入薬が最も効果的で副作用の少ない治療法とされています。
作用が速やかで投与量が少なくてすむので、高齢者にとっても安全な治療法です。吸入薬を処方されたら、薬が肺にきちんと届くように、吸い込むタイミングなどを練習しましょう



吸入薬の種類・吸入法

 吸入器具を使って、薬を気道内に噴霧します。現在、薬を噴霧する吸入器には、
「定量噴霧式吸入器(MDI)」「ドライパウダー吸入器(DPI)」の2つのタイプがあります。いずれの場合も、「薬を吸い込んだら口を閉じ、頭の中でゆっくり1〜10数えてから(苦しいときは無理のない程度でよい)息を吐く」のが基本です。


吸入薬を用いる際の注意事項


 正しく吸入しないと薬の効果が得られないので、医師の指示をきちんと守り、正しい使い方を身に付けることが大切です。初めて吸入器を使う人は、正しく使えているか、医師にチェックしてもらってください。また、吸入が終わったら、必ずうがいをして口の中をすすぎましょう。口内に薬剤が残っていると、副作用が起こることもあるからです。

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